高卒でパン屋に努めましたが、最初のパン屋さんは私の住んでいた田舎では美味しいと評判のパン屋さんでした。
そこのフランスパンは今考えるとフランスパンではないなと思います。
そこのパン屋さんでは、基本的に70%の無糖中種法の変法を使っていました。
1日の仕事の一番最後に次の日の中種を全て捏ねて翌朝の仕込みに使っていました。
中種は1速で12から13分と中種にしては割としっかりとグルテンを出していました。
翌朝には完全に発酵が終点を越えてガスが抜けた状態でした。
そんな中種を使ってフランスパンも焼いていました。
今では、細かい配合は忘れてしまいましたが、2%の塩と2%の砂糖、おまけに無塩バターまで1%配合していました。
今考えるとびっくりです。
後にわかるのですが、私の住んでる田舎の最大手の工場でも昔は油脂や砂糖更には卵を配合したものをフランスパンとして販売していたようです。
もう20年以上前の話です。
そんな、変わった配合のフランスパンですが、変わっているのは配合だけではありません。
見た目も凄いです。
30分のフロアータイムの後分割成形と入って行きます。
オーブンは200度程度で30分焼成しますが蒸気の量が半端なく多いです。
おかげでクープはまっ平ら、クラストはありえない程の光沢を放っていました。
しかし、私はこのフランスパンが大好きでしたしその頃はコレがフランスパンだと信じていました。
食べると、非常に歯切れが悪くいわゆるガミー状態です。
それもそのはず、強力粉で仕込んでいましたから。
そんなフランスパンに対生地30%のくるみを混ぜ込んだくるみパンは非常に秀逸で店の一番人気でした。
クープナイフは、カミソリではなくカッターの刃を使っていました。
そこのパン屋さんのPOPには日本で一番美味しいフランスパンと書いていました。
今考えると、ちょっと恥ずかしいです。
続いて、ホテルのベーカリーでいわゆる本当のフランスパンを学ぶ事になるのですが、長くなりそうなので今回はこの辺で。